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★IEA Global EV Outlook 2023 のEVマーケットのトレンドと動向(大型電気自動車)

 

出典:Global EV Outlook 2023: Catching up with climate ambitions (windows.net)

◆◆電気トラックおよびバスの販売シェア◆◆

 2022年には、世界で約66,000台の電気バスと60,000台の中型・大型電気トラックが販売された。これは、バス販売全体の約4.5%、トラック販売全体の約1.2%に相当する。電気(および燃料電池)トラックとバスの生産と販売は、引き続き中国が大勢を占めている。2022年には、中国で54,000台の新しい電気バスと推定52,000台の中型・大型電気トラック[9]が販売された。それぞれ中国での総販売台数の18%と4%、世界販売台数の約80%と85%に相当する。また、中南米、北米、欧州で販売されているバスやトラックの多くは、中国ブランドである。

[9]中国における商用トラック販売は、四つのGVW(車両総重量)で分類されている:1.8トン未満、1.8〜6トン、6〜14トン14トン超。これらは、IEAが世界的に統一した小型商用車(GVW3.5トン未満)、中型トラック(3.5〜15トン)、大型トラック(GVW15トン以上)の定義に合わせるため、他の外部データソースに基づくカテゴリーに再配分されている。

図1.11 地域ごとの電気バスおよびトラックの登録ならびに販売台数(2015〜2022年)

出典:各国の提出資料とEV100および自動車保険登録データに基づきIEAが分析
中国は、世界の電気バス販売台数の約80%、電気トラック販売台数の約85%を占め続けている。また、電気バス、電気トラックともに大量に輸出している。

 ヨーロッパ内では、フィンランドが電気バスの販売シェアが最も高く、2022年は販売台数の2/3を占めた。ノルウェーとオランダはおよそ販売の半分、デンマークは1/3であった。スウェーデン、スイスおよびイスラエルでのシェアも高かった。

 電気トラックの販売シェアは主要マーケットでは低いままである。中国を除き、中型および大型電気トラック(以降“トラック”)の累積販売台数は、現在のところ多くの国々で100台規模である(2022年には欧州全域でちょうど2,000台を下回る程度)。一般的には、中型・大型のカテゴリでは、主な運送会社が地域や長距離運行において電気トラックの実証走行を行っているが、販売シェアは概ね1%を大きく下回っている。

 中国で生産された電気トラックのカタログ平均航続距離は300kmを超え、電気バスの航続距離は400kmに達している。中国(およびその他の地域)の電気バスの大部分は現在、都市部の公共交通機関で使用されているが、公式統計によると、少なくとも8%の新エネルギーバスが都市間路線で運行されている。

 中国で販売された電気トラックの大半はバン型トラックであり[10]、電気トラックの販売台数の90%は車両総重量(GVW)4.5トン未満で、その大半は3.5〜4.5トンである。また、中国でのトラクタトレーラーやゴミ収集車向けの電気トラックの販売台数は、低水準から急成長している。

[10]バン型トラックは、小型商用車および中型商用車のキャブトラックで、後部に密閉された箱型の荷室がある。

 ここ数年、電気バスやトラックの生産・販売台数は、補助金に基づいて浮き沈みしていた。中央政府は2016年と2017年に合計300億人民元(43億米ドル)の補助金を導入したが、その大半は電気バス向けで、BYDのバスだけでも約100億人民元(15億米ドル)の補助を受けた。2018年以降は補助金が段階的に削減されたにもかかわらず(2018〜2021年の補助金総額は200億人民元(29億米ドル)以下)、電気バスとトラックの販売は2021年に増加し始め、2022年には再び増加した。これは、政府の支援がなくても競争力があるコストと性能レベルに達したという有望な兆候である。コスト削減は、市場の統合と規模の経済によっても推進されている。実際、中国の商用電気トラック(小型商用車と中型・大型トラックの両方を含む - 小型商用車の電動化については前セクションを参照)の販売台数は、補助金導入直後の2017年に約15万台の最高値から2020年には5万9千台と低迷したが、2021年と2022年の両方で1台あたりの補助金が減少したにもかかわらず、2022年には電気トラックの総販売台数が18万6千台に達するまで回復した。

◆◆中型および大型トラックのカテゴリで2022年にはゼロエミッション車モデルが拡大◆◆

 ゼロエミッション・トラックの提供モデル数は2022年も拡大を続けており、「Global Drive to Zero Emission Technology Inventory(ZETI)」データベースには、現在および発表済みの中型および大型車モデルが840近く登録されている。

 新型車開発のトレンドは、バスから中型・大型トラックへと移行している。2022年に発売された220モデルのうち、半数以上が中型トラック(60モデル以上)または大型トラック(50モデル以上)であり、トラックメーカーがより大きく、より重い積載量のゼロエミッションモデルの供給に自信を深めていることを反映している。すでに発売されている中型および大型トラックの大半(90%以上)はバッテリー電気自動車で、燃料電池の大型トラックは現在12モデル発売されており、さらに8モデルが2023-24年に発売される予定となっている。

 2022年に市販されたバスとトラックのモデルのうち、60%(500モデル以上)が中国に本社を置くメーカーによって生産されている。また、北米のメーカーが20%(170モデル以上)、欧州のOEMが15%(120モデル以上)生産している。

図1.12 現在および発表済のゼロエミッション商用車モデル
    (タイプ、発売日、距離帯別、2019 〜 2023 年)

注: 販売台数は継続的に更新されていますが、新モデルの発表や販売台数にまだ登録されていない小規模メーカーもあり、この図は完全に反映していない可能性があります。ゼロエミッション車両(ZEV)には、バッテリー電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、燃料電池電気自動車(FCEV)が含まれます。「その他」にはゴミ収集車の他に、高所作業車、コンクリートミキサー車、移動式商用トラックおよび道路清掃車などの特種車です。大型トラックと交通バスの数値には、2023 年から 2024 年に発表されたモデルが含まれています。
出典: Global Drive to Zero ZETI ツール データベースに基づく IEA 分析

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