■海外情報

★IEAの自動車用先進燃料ニュースレター(2023年第1号(2023年2月発行))
原文は、以下のURLを参照
AMF Newsletter 1-2023_February 2023.pdf (iea-amf.org)


◆◆目次◆◆           ※は、本ニュースレターでの抄訳記事


○実証事業/プロジェク/市場動向に関する情報
 ※e-fuelのパイロットプラントが公式にオープン(チリ)
 ※埋め立て地の廃棄物からの合成原油(米国)
 ※バイオLNGプラントの起工式(米国)
  エタノールを水素に転換するためのパートナーシップ(ブラジル)
  ラスト1マイルのための実証プロジェクト(日本)
○政策/規則/指令/基準に関する情報
  インドにおける最初のグリーン水素の混合
 ※米国の交通機関の脱炭素化のための資金を確保する法律
 ※カリフォルニア州は条例でZEV販売100%を決定
  インドネシアはバイオディーゼル混合の義務付けを強化
〇船舶関連の注目ニュース
  米国西海岸における最初のLNGコンテナ船
○電気自動車関連の注目ニュース
  ラスト1マイル配送のため電気自動車4,500台を購入(米国)
  新しいSUV電気自動車がExpoで披露(インド)
 ※サブスクリプション会社が23,000台の電気自動車を発注(米国)
○航空関連の注目ニュース
  SAFを使ったフライトルートに関するパートナーシップ
  持続可能な航空燃料(SAF)連合
  CEPSパイプラインを使いブリュッセル空港へSAFを配給
○メタノール関連の注目ニュース
 ※CO2からメタノールを製造するプラントが稼働開始(中国)
 ※グリーンメタノールの戦略的取引(米国)
○IEA AMFニュース
  第64回執行委員会
  タスク63:持続可能な航空燃料
  進行中のAMFプロジェクト
○刊行物
  IEAの世界のエネルギー動向2022
  ERTRAC:技術選択肢のマッピング
  新しいデータ可視化ツール
  研究:米国におけるバイオ燃料用大豆油
  報告書:船舶におけるカーボンプライシング
 ※将来燃料の研究
  運輸環境報告書2021
  EUのGHGインベントリ年間報告書
 ※バイオおよび再生可能ディーゼル燃料のGHG排出量のLCA
  エネルギー転換への市民の参加A
 ※バイオおよび再生可能ディーゼル燃料のGHG排出量のLCA
 ※将来のモビリティ燃料シナリオに関する分析A
 ※バイオおよび再生可能ディーゼル燃料のGHG排出量のLCA
  EUにおける舶用LNG燃料
 ※バイオおよび再生可能ディーゼル燃料のGHG排出量のLCA
 ※IEAのバイオエネルギーポジションペーパー〜SNG(持続可能な天然ガス)製造
  ヨーロッパの自動車市場統計情報
  チリの燃料経済性基準およびZEVの目標
  ブラジルにおける内航船の脱炭素化
  日本の2022エネルギー白書

◆◆実証事業/プロジェクト/市場動向に関する情報◆◆

e-fuelのパイロットプラントが公式にオープン
 チリでは、米国、ドイツ、イタリア、チリのエネルギー、パワートレイン、テクノロジー企業のコンソーシアムが、合成燃料の工業生産を開始した。プンタアレナス(チリ)の「Haru Oni」パイロットプラントが、2022年12月に正式にオープンした。Haru Oniは、風力による再生可能エネルギーを利用して、電気分解によりグリーン水素を製造する予定である。また、この施設では大気中のCO2を回収し、CO2と水素を合成するプロセスを用いて、カーボンニュートラルなメタノール(eMethanol)、ガソリン(eGasoline)、液化ガス(eLG)などのeFuelを生産する。

「Haru Oni」パイロットプラント
出典:https://www.greencarcongress.com/2022/12/haru-oni-e-fuels-demo-plant-in-chile-officially-opens.html/

埋め立て地の廃棄物からの合成原油
 カリフォルニア州プレザントンに本社を置く廃棄物発電会社Fulcrum BioEnergy社は、ネバダ州の工場で埋め立て地の廃棄物を原料として低炭素の合成原油を生産することに成功したと発表した。同社は、計画に基づいた成長プログラムを進めており、Fulcrumは、年間約4億ガロンのネット・ゼロ・カーボン輸送用燃料を生産する能力を持つことになると見込んでいる。同社の開発プログラムには、インディアナ州ゲーリーのCenterpointバイオ燃料工場、テキサス州ガルフコースト地域のTrinity燃料工場、英国のNorthPointプロジェクトが含まれている。

廃棄物発電会社Fulcrum BioEnergy社のネバダ州の工場
出典:https://www.wastetodaymagazine.com/news/fulcrum-bioenergy-produces-low-carbon-fuel-from-landfill-waste/

バイオLNGプラントの起工式
 フレデリクスハウン港で、デンマーク初となるNORDLIQプラントの建設が始まった。夏近くには、旅客船や貨物船はこの港でカーボンニュートラルのバイオガス液体燃料を補給することができる。大型車もこのグリーン燃料を利用することができる。このプラントは、MAKEEN EnergyとNature Energyによる共同プロジェクトである。
出典:https://www.makeenenergy.com/news-from-makeen-energy/nordliq-construction/

◆◆政策/規則/指令/基準に関する情報◆◆

米国の交通機関の脱炭素化のための資金を確保する法律
 米国政府は、2022年8月に運輸部門の脱炭素化に関する技術や戦略の組み合わせに多額の資金提供を含むインフレ抑制法を可決した。この法律には、代替燃料車とインフラを支援する次のような税額控除が含まれている:
・ 新車の小型「クリーンカー」に対しては1台あたり最大7,500ドル、中古の「クリーンカー」に対しては4,000ドル
・バッテリーや燃料電池を搭載した大型トラック、バス、その他の「適格な商用クリーンカー」に対して、1台あたり最大40,000ドル
・代替燃料の給油インフラ建設費用として、1物件につき上限10万ドル
 税額控除に加えて、本法はクリーンでゼロエミッションの運送用車両の取得を支援する。具体的には、米国郵政公社がゼロエミッションの運送用車両と給油インフラを取得するために30億ドル、環境保護庁がクリーンな大型車に対する助成金とリベートプログラムを実施するために10億ドル、港湾事業者が物流と気候変動軽減計画の策定と新しい「ゼロエミッション港湾設備」の導入により大気汚染を減らすために使える30億ドルの助成基金を充てる。
 また、同法は、クリーンカーの国内製造活動およびそのバッテリーサプライチェーンを支援するための資金も提供している。これには、PEVやFCVを含む製造施設や関連インフラに100億ドル、低排出ガス車やゼロエミッション車の製造に向けた直接融資に30億ドル、PEVやFCV、その他の効率的な車の製造に向けた補助金に20億ドルが含まれている。
出典: https://crsreports.congress.gov/product/pdf/IN/IN12003/
https://www.catf.us/2022/08/on-the-road-inflation-reduction-act-jumpstarts-us-transportation-sector-decarbonization/

カリフォルニア州は条例でZEV販売100%を決定
 カリフォルニア州大気資源局(CARB)は、2035年までにカリフォルニア州で販売される新車の乗用車と小型トラックの100%をゼロエミッション車(ZEV)にするための1年ごとのロードマップを定めた「Advanced Clean Cars II」規制を承認した。この規制は自動車メーカーに適用され、新車販売のみを対象としている。この規制は、2026年のモデルイヤーからZEVの数を増やし、同年の販売台数は35%から始まり、2030年には68%、そして2035年には100%に達することを自動車メーカーに要求するものである。
 プラグインハイブリッド車、バッテリー電気自動車、水素燃料電池車が、自動車メーカーへ要求する数になる。PHEVは、実走行条件下での全電気走行距離が50マイル以上である必要があり、EVとFCVは150マイル以上であることが条件となる。2030年モデルまでには、10年間または15万マイルの間、少なくとも80%の電気航続距離を維持することが規則で定められており、2026年から2029年までは70%から段階的に導入される。さらに、3年間で39億ドルがZEVの導入やカリフォルニア州における普及に不利な地域に対するクリーンモビリティの選択肢に投資する予定である。
出典:https://ww2.arb.ca.gov/news/california-moves-accelerate-100-new-zero-emission-vehicle-sales-2035/

サブスクリプション会社が23,000台の電気自動車を発注
 米国のEVサブスクリプション企業であるAutonomyは、運送用車両のサブスクリプション拡大のため、自動車メーカー17社にEV23,000台を12億ドルで発注した。この発注は、2023年末までの米国のEV生産予測台数の1.2%に相当する。消費者向け小型車向けサービスでは、3ヶ月の最低保有期間の後、1ヶ月単位での契約が可能である。AutonomyはAutonationと提携し、同社の電気自動車フリートのメンテナンス、修理、再調整のサービスを行っている。

Autonomy社HP
出典:https://www.businesswire.com/news/home/20220809005495/en/Autonomy-Places-23000-Electric-Vehicle-Order-With-Automakers-to-Expand-and-Diversify-Subscription-Fleet/

CO2からメタノールを製造するプラントが稼働開始
 中国河南省安陽市で、世界初の商業規模のCO2からメタノールを製造するプラントが稼働開始した。このプラントは、回収したCO2と水素ガスから、燃料や化学原料として価値のあるメタノールをこの規模で製造する世界初の設備である。
 このプラントの生産プロセスは、カーボン・リサイクル・インターナショナル(CRI)が開発し、アイスランドで初めて実証されたETL(Emission-to-Liquids)技術に基づくものである。この新しい設備では、年間16万トンのCO2を回収することができる。これは、6万台以上の自動車を道路から退出させることに相当する。回収されたCO2は、CRIが独自に開発したETL反応システムで回収した水素と反応させ、年間11万トンのメタノールを生産することが可能である。
 このフラッグシップ・プラントは、CO2回収・利用(CCU)技術の開発における重要なマイルストーンの達成を意味し、また、循環型炭素経済への産業界の進展でもある。


Autonomy社HP
出典:https://www.carbonrecycling.is/news-media/worlds-largest-co2-to-methanol-plant-starts-production/

グリーンメタノールの戦略的取引
 この取引では、SunGas社が米国で開発する複数の設備でグリーンメタノールを生産し、Maerskが、これらの施設で生産されたグリーンメタノールの全量を引き取る契約である。
 年間生産能力は約39万トンで、最初の施設は2026年に操業を開始する予定である。
出典:https://www.ship-technology.com/news/maersk-green-methanol-partnership-sungas/

◆◆刊行物◆◆

将来燃料の研究
 FVVの研究IV「GHGニュートラルなポスト化石時代へのモビリティの変革」の結果を受け、FVVはフォローアップ研究において分析の枠組みを拡張することをFrontier Economicsに依頼した。
 本調査には4つの重要な特徴がある:
 ・自動車交通部門への重点的な取り組み
 ・新エネルギーキャリア/パワートレインの追加
  (プラグインハイブリッド電気自動車、メタノール・ガソリンドロップイン燃料)
 ・化石燃料を使用しない輸送経路の技術的な拡大可能性(技術的ボトルネック)を明示的に考慮すること。
 ・異なるエネルギーキャリアやパワートレインを組み合わせることで、GHG中立を早期に達成できるようにする。
出典:https://www.fvv-net.de/

バイオおよび再生可能ディーゼル燃料のGHG排出量のLCA
 アルゴンヌの研究者は、「米国におけるバイオディーゼルおよび再生可能ディーゼル生産のライフサイクル温室効果ガス排出量」という研究論文をEnvironmental Science & Technology誌に発表した。この論文では、油糧種子作物、蒸留トウモロコシ油、使用済み食用油、獣脂からのバイオディーゼルおよび再生可能ディーゼル(RD)を生産する際のGHG排出量のライフサイクル分析が行われている。大豆、キャノーラ、カリナータ油からバイオディーゼルとRDを製造する場合のライフサイクルGHG排出削減量は、土地利用の変化を考慮した上で、石油ディーゼルと比較して40%から69%である。獣脂、使用済み食用油、蒸留トウモロコシ油をバイオディーゼルおよびRDに変換すると、石油ディーゼルよりも79%から86%低いGHG削減を達成できる。
出典:https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.est.2c00289/

将来のモビリティ燃料シナリオに関する分析
 本報告書は、交通機関のCO2削減、バイオ燃料利用、鉱物資源需要のバランスを考慮し、持続可能な開発目標(SDGs)に大きく貢献する東アジアサミット(EAS)モビリティの将来シナリオ分析の結果を示したものである。インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、インドの6カ国の政策に基づき、バイオ燃料の生産と利用、電動車の導入による「Well-to-Wheel」CO2排出量と削減量の評価結果を提供している。
出典:https://www.eria.org/publications/analysis-of-future-mobility-fuel-scenarios-considering-the-sustainable-use-of-biofuels-phase-2/

IEAのバイオエネルギーポジションペーパー〜SNG(持続可能な天然ガス)製造
 持続可能な天然ガス(SNG)は、生物由来の原料から生産されるメタンガスで、バイオメタンとも呼ばれる。原料は、森林残渣、農業残渣、プラスチックを含む廃棄物(MSW)などである。ロシアがウクライナに侵攻したことで、化石天然ガスへの依存が見直されている。EUは天然ガスからの脱却に舵を切り、最近、天然ガスの使用を減らし、SNGに置き換えることを目的とするREPowerEU計画を発表した。さらに、SNGは化石天然ガスからの移行において、既存の産業を脱化石化するための重要な要素であると認識されている。
出典:https://www.ieabioenergy.com/wp-content/uploads/2022/08/Position-paper-Sustainable-Natural-Gas-production-through-gasification-rev.pdf/

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