★IEAの自動車用先進燃料ニュースレター(No.3/2020(2021年2月発行))
原文は、以下のURLを参照
https://www.iea-amf.org/app/webroot/files/file/Newsletters/AMF%20Newsletter%203-2020.pdf(英語ページ)



◆◆目次◆◆ ※は、本ニュースレターでの抄訳記事


○実証事業/プロジェクト/市場動向に関する情報
 ※東アジアのCO2削減戦略に関する研究
  ASEAN諸国におけるエネルギーと排出ガスの現実
  トランスジャカルタ(Transjakarta:インドネシアのジャカルタで運行されているバス高速輸送システム)への移行
  パーム油残渣からのエタノール製造
 ※グリーン貨物輸送プログラム
 ※貨物輸送のための天然ガスハイブリッド自動車
  コロンビアの電気バス普及

○政策/規則/指令/基準に関する情報
  ブラジルはエタノール輸入に対して関税を課す
  マレーシアとEUのパーム油紛争
 ※カリフォルニアのゼロエミッション重量車販売必要条件
 ※カリフォルニアのカーボンネガティブ天然ガス自動車
 ※カリフォルニアは燃料電池自動車用水素充填所に投資
  化石燃料使用に関するキャップ

○船舶関連の注目ニュース
  船舶からの排出ガスを削減する可能性のある液体バイオ燃料
  マースクはカーボンニュートラル運航を準備
  よりクリーンな船舶の運航に向けたナビゲーション

○IEA&IEA AMFニュース
  道路輸送の脱炭素化に関する再生可能な運輸燃料の役割

○刊行物
  世界のエネルギー及び気候変動概観2020
  教育ビデオシリーズ:再生可能燃料に関する“Just a minute”
  日本:IEEJ(一般財団法人日本エネルギー経済研究所)概観2021
  従来車及び代替燃料自動車のLCA
  EUにおけるバイオエネルギー需給分析
  持続可能性に向けたガスインフラプロジェクトの貢献度の算定
  再生可能メタノールの変革に関する概観
 ※クリーンなトラック・バスのための規制や基準
  ラテンアメリカにおける電気バスのビジネスモデル
  カナダにおける電気バス供給チェーンの発展

◆◆自動車用先進燃料ニュースレターの主要記事の紹介◆◆

 IEAの自動車用先進燃料ニュースレター(2020年第3号(2021年2月発行))から、主な記事を以下に紹介します。

〇実証事業/プロジェクト/市場動向に関する情報

東アジアにおけるCO2削減戦略に関する研究
 ERIA(東アジア・アセアン経済研究センター)の研究プロジェクトワーキンググループの「東アジアサミット諸国におけるモビリティの電化と代替バイオ燃料導入によるCO2排出削減の評価」に関する報告書で、インド、インドネシア、日本、フィリピン、タイの専門家は、インド、インドネシア、タイでの電動車両台数の増加戦略を補完するため、道路車両にバイオ燃料を使用することによるCO2削減の可能性について評価した。
 シミュレーションの結果、中程度の電化戦略だけではCO2排出量を2030年までに必要なレベルまで削減するのは不十分であり、中程度から積極的な電化とハイブリッド化の組み合わせが最大の効果を与えることを示している。輸送用燃料需要の代替として、従来型と次世代型の両方のバイオ燃料を補完的に使用することで、実質的なCO2排出量削減と経済的利益がもたらされる。
 したがって、東南アジア諸国連合と東アジアの運輸部門を脱炭素化するためのバランスの取れたアプローチのポートフォリオの一部として、電気自動車やハイブリッド自動車とともにバイオ燃料にインセンティブを与える必要がある。


東アジアサミット諸国におけるモビリティ電化と代替バイオ燃料導入によるCO2排出削減の評価

出典:ERIA
リンク:https://www.eria.org/publications/evaluation-of-co2-emissions-reduction-by-mobility-electrification-and-alternative-biofuel-introduction-in-east-asia-summit-countries/(英語ページ)

グリーン貨物輸送プログラム
 最近は、グリーン貨物プログラムへの技術取り込みの加速や技術検証の合理化に自動車シミュレーションツールが応用されている。技術検証ツール(TVT)により、運送事業者またはグリーン貨物プログラムの管理者は、実際の広範なテストを行わずに、トラックに関する技術がどのくらいの燃料節約ポテンシャルを持つか見積もることができる。
 この研究では、典型的なラテンアメリカのトラクタ・トレーラーの低転がり抵抗タイヤ及び空力抵抗低減による燃料節約効果の可能性を異なる走行モードにおいて見積もるため、GEMやVECTO(Vehicle Energy Consumption Calculation Tool:欧州委員会により開発された車両重量3.5トン超の重量車の燃料消費量やCO2排出量を計算するプログラム)を使ったツールを使用している。運送事業者により運行距離が異なることを考慮し、100台のトラクタ・トレーラーの包括的な結果を分析している。このシンプルなツールは、実際の運行において類似車両を用いた場合の燃料消費量削減の技術効果を定量化することに興味を持つ運送事業者が使うことができる。
 シミュレーションの結果は、相対的に狭い範囲でのトラックの仕様変数での効率改善について示すものである。換言すると、同じ分類に包含される異なる仕様のトラックは、同様な技術を使用したときには、同等の効率改善効果があるはずであるということになる。しかしながら、車両速度で効果が大きく異なる特徴がある空気抵抗改善デバイスの場合、走行モードが変わると効率改善の変化は大きくなる。
 TVTの使用は、特定の運送業者の代表的な運行範囲における効率の改善や費用対効果が高いと評価される運転条件範囲を大幅に拡大するために貢献するものである。


グリーン貨物プログラムのための技術検証ツール
出典:ICCT
リンク:https://theicct.org/publications/technology-verification-tool-green-freight-programs(英語ページ)

貨物輸送のための天然ガスハイブリッド自動車
 米国を拠点とするWegmansFood Storeは、既存の圧縮天然ガスで駆動する貨物トラックでHyliionHybrid変換システムの試験運用を開始した。このシステムは、車両の出力を約30%増加させる280アンペアのリチウムイオンバッテリーパックを搭載しているため、これらのトラックはよりハードな運転操作を行うことができる。燃費改善効果はまだ明らかになっていない。

運送事業者が圧縮天然ガスハイブリッド自動車(トラクター)を使用し成功

出典:
https://www.ccjdigital.com/business/article/14940128/fleets-respond-to-cng-tandem-hauling-capabilities(英語ページ)


カリフォルニアのゼロエミッション重量車販売必要条件
 2020年6月、カリフォルニア州大気資源局は、先進クリーントラック規制を承認した。これは、初めてトラック製造業者に対してディーゼルからゼロエミッション電気トラックへの移行を義務づけるものである。販売要求は2024年に始まり、2045年までにカリフォルニアで販売されるすべての新しいトラックの排出量がゼロになるという目標を掲げている。
 クラス2b-8シャシメーカーあるいは内燃機関を搭載する完成車メーカーは、カリフォルニアにおいて年間販売台数が増加するようゼロエミッショントラックの販売を行うことが必要になる。2035年までには、ゼロエミッショントラックは、クラス2b-3単車トラック販売の55%、クラス4-8単車トラック販売の75%、トラクター販売の40%に達することが必要である。
 さらに、大企業には出荷台数を報告することが要求され、運送事業者には運行状況の報告が要求される。この情報は、運送事業者が購入可能なゼロエミッショントラックを購入し、それらが運送事業者のニーズに応じて使用されていることを確認するために使われる。
 この規制は技術開発や投資を促進させるものであり、2024年にゼロエミッション重量車の利用が可能になりその後の20年間で完全な移行に向かうことになる。これは、製造業者、運送事業者及び公益事業者にゼロエミッショントラック及びその経済に投資をする時期が来たという明確なシグナルを送るものである。このことは、ゼロエミッション輸送を実現するためのカリフォルニアのリーダーシップに基づくものである。


カリフォルニアのゼロエミッション重量車販売必要条件
出典:https://ww2.arb.ca.gov/our-work/programs/advanced-clean-trucks(英語ページ)


カリフォルニアのカーボンネガティブ天然ガス自動車
 2020年第二四半期に、カリフォルニアの低炭素燃料基準における天然ガス自動車(NGV)のエネルギー換算炭素強度(CI)は、あらゆる燃料プログラムの歴史において初めてゼロ以下となった。このネガティブCIは、プログラムにおけるすべてのNGV燃料の中で再生可能天然ガス(RNG)がほぼ90%を占めたことによるものであった。これまで、10億ドル以上の投資が州内のRNG製造プロジェクトに対して行われてきた。

カリフォルニアのカーボンネガティブ天然ガス自動車
出典:https://ngtnews.com/carb-ci-of-californias-ngv-fuel-portfolio-negative-for-first-time(英語ページ)


カリフォルニアは燃料電池自動車用水素充填所に投資
 カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)は、2027年までに111か所の水素燃料充填所の建設を支援するため、最大1億1,500万ドルを投資する計画を承認した。最初の計画では、30か月間をかけて30か所の充填所を建設することになる。2020年まで、CECは62の水素燃料充填所の設置またはアップグレードに1億2,500万ドルを費やしてきた。

エネルギー委員会が水素燃料インフラに最大1億1,500万ドルを投資する計画を承認
出典:https://www.energy.ca.gov/news/2020-12/energy-commission-approves-plan-invest-115-million-hydrogen-fueling(英語ページ)

○刊行物

クリーンなトラック・バスのための規制や基準
 このITF(International transport forum:国際運輸フォーラム)レポートは、ゼロまたはニアゼロエミッションを可能にするトラックやバス等の重量車の基準や動向をまとめたものである。経済発展や環境の最前線技術であるプラグインあるいは燃料電池自動車に焦点を当てている。充電や燃料補給インフラに関する情報や技術基準に関する情報を含んでおり、さらに将来の普及に向けて残存する障害や可能性を特定している。このレポートは、カーボンフリーモビリティ及びクリーンエネルギーへの移行に関連するすべてのステークホルダーに対して重要な示唆を提供している。

クリーンなトラック・バスのための規制や基準
出典:https://www.itf-oecd.org/regulations-and-standards-clean-trucks-and-buses(英語ページ)

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