■海外情報
★ドイツにおける自動車用先進燃料の動向
《AMF-TCP(自動車用先進燃料技術連携プログラム)2019年間報告書より》

出典:
https://www.iea-amf.org/(英語ページ)
◆◆ドイツ◆◆
自動車用先進燃料普及の背景及び政策
ドイツは、排出権取引(ETS:emission trading system)以外の分野において、運輸部門のCO2排出量を2030年に2005年比較で38%削減するとコミットしています。ドイツはすでに包括的な気候変動対策を講じていますが、設定されたCO2削減目標を達成するには国としてさらなる努力が必要になっています。これらは、連邦政府の気候変動アクションプラン2050[43]において既に設定されており、2019年10月に連邦政府により承認された気候変動アクションプログラム2030で具体化されています。気候変動アクションプログラム2030[44]は、具体的なCO2削減対策のための四つの柱から成り立っています。
(1)CO2削減のための支援プログラム及び優遇策
(2)炭素価格付け(カーボンプライシング):カーボンプライシングからの収益は、気候変動対策の促進に再投資されます。
(3)または、カーボンプライシングからの収益は、市民に還元されます。
(4)2030年まで規制措置は継続的に施行されます[45]。
気候変動アクションプランにより、ドイツは運輸部門において、1990年比で温室効果ガス(GHG)を少なくとも40〜42%削減するという拘束力のある目標を設定しています。政府の計画では、環境保全に対して2023年までに合計で540憶ユーロ(610憶米ドル:約6兆4,000億円)以上投資することになっています。
運輸部門の政策に関する国の主たる推進力は、引き続き改訂欧州連合(EU)再生可能エネルギー指令II(RED II)[46]となっています。ディーゼルエンジンに関する議論は2015年から続いており、現在の流れでは2015年から有効となっているGHGの割り当てだけでは、1990年比で2030年までに40%削減するというGHG削減要件を実際には満たさないことが示されています。事実、この割り当て達成のためには運輸部門において高い割合で再生可能エネルギーが必要とされ、ほぼすべての代替燃料の導入を考慮する場合にのみ達成することができるものです。液体バイオ燃料(BTL)や電力燃料(PTL)を含む先進燃料の生産設備に関する新しいインフラは、遅くとも2021年から必要になるでしょう[47]。電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の数は、2017年から顕著に増加していますが(自動車用先進燃料統計情報の項を参照)、自動車の総台数に占めるシェアは、小さいままです。
合成バイオPTX(たとえば、バイオCO2と電力から製造した水素を利用し、合成・精製した燃料)の流れの中で、バイオマス(BTX)と電力(PTX)ベースの技術を結合させることによる相乗効果は、運輸部門において新しい展望を与えるものです[48]。
ドイツにおける一般公開の議論では、高速道路の速度制限(ドイツのアウトバーン)同様に、大都市圏の輸送に関する電気モビリティとバッテリー駆動の車両に主として焦点が当てられています[49]。
自動車用先進燃料の支援をコミットした政策のみが市場において見通しが明くなっています。これは、政府のモビリティと燃料戦略[50]、気候変動対策プログラム[51]、ならびに国内及びヨーロッパの法律に一部反映されています。
2018年1月以降、EU法を実行するための上流部門の排出ガス削減(UER)[52]条例が施行されました。燃料使用量に応じて、UERに基づいた平均的な特異GHG防止と最大1.2%のGHG回避に準拠することになり、2019年にはバイオ燃料の絶対量が一定になりました[43]。2020年以降、鉱物油業界はUER対策が適用されることにより法的要件に準拠することになります。法的要件に準拠するため、政府は基準年を2010年として、鉱物油業界に2020年からGHG排出量を6%ずつ削減するよう要求しています。さらに、ドイツ排出ガス規制法[53]は、2倍カウント(訳者注:EUの2009年再生可能エネルギー指令(RED)では、廃棄物、残渣、 非食品セルロース系原料、及びリグノセルロース系原料から製造した先進バイオ燃料の導入量は、2倍カウントして良いことになっています。)をすべて禁止し、割り当て量基準から動物性脂肪を除外しています。ただし、最近の規制では該当リストが拡大され、持続可能な生産が行われているバイオベースの精製水和油、Power to X(P2X)[54]、及び電気自動車(EV)[55]での電力使用が含まれるようになりました。
運輸部門において脱炭素化を図るため、最近では短距離交通移動や乗用車の電動化のみならず、交通量の多い中長距離道路ネットワークに沿った圧縮天然ガス(CNG)インフラの整備にも重点が置かれています。さらに政府は、重量車両及び船舶輸送分野において液化天然ガス(LNG)利用を強く支援しています。CNGやLNGの利用は、将来のモビリティーについて検討する連邦政府の専門家会議において議論の的となっています[56,57]。輸送用燃料としての水素の利用は、国の水素戦略の中の重要な要素の一つとなっており、2020年内に開始するため、現在その戦略のドラフト作成がなされています。2009年から、約50憶ユーロ(54憶米ドル)の資金支援を“移動の電動化”に対して行っており、それをより魅力的なものにするためのフレームワークを立ち上げました[58]。
2020年末までには、連邦・運輸デジタルインフラストラクチャ省(BMVI)は、3億ユーロ(3億3,300万米ドル)の充電インフラ支援プログラムにより少なくとも15,000箇所のパブリック充電所の整備を後押ししています。2019年8月からBMVIにより約1万箇所の通常及び急速充電所に対し資金支援されました。充電インフラのニーズに基づいた総合的な調整が、2018年に開発された配置計画ツール(ドイツの“StandortTool”[59])を用いて行われました。2019年12月時点で、エネルギー会社、駐車エリア・駐車場運営者、スーパーマーケット及びホテル用に約23,840箇所のパブリック(一部パブリック含む)充電所が設置されています[60]。これは1年で50%以上の増加になります。そのうち、急速充電所のシェアは約12%です。
43:
https://www.bmu.de/en/topics/climate-energy/climate/national-climate-policy/(英語ページ)
44:
https://www.bundesregierung.de/breg-en/issues/climate-action/klimaschutzprogramm-2030-1674080(英語ページ)
45:
https://www.bundesregierung.de/breg-en/issues/climate-action/klimaschutzziele-finanzieren-1694724(英語ページ)
46:
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32018L2001
47:Meisel et al. (2019). Untersuchungen zur Ausgestaltung der Biokraftstoffgesetzgebung in Deutschland. DBFZ(ドイツ語ページ)
48:Naumann, K. et al. (2019): Monitoring Biokraftstoffsektor. 4th Ed. DBFZ Rep. No. 11(ドイツ語ページ)
49:
https://www.bundestag.de/parlament/plenum/abstimmung/abstimmung?id=622; (ドイツ語ページ)
http://dip21.bundestag.de/dip21/btd/19/140/1914000.pdf(ドイツ語ページ)
50:
https://www.bmvi.de/SharedDocs/EN/Dossier/MKS/mobility-and-fuels-strategy.html(英語ページ)
51:
https://www.bundesregierung.de/breg-en/issues/climate-action/klimaschutzprogramm-2030-1674080(ドイツ語ページ)
schutzprogramm_2030_umsetzung_klimaschutzplan.pdf (Sections 3.4.3.4 ff.) (ドイツ語ページ)
52:
https://www.gesetze-im-internet.de/uerv/UERV.pdf(ドイツ語ページ)
53:
https://www.gesetze-im-internet.de/bimschv_38_2017/BJNR389200017.html; (ドイツ語ページ)
https://www.buzer.de/gesetz/12898/v219254-2019-05-25.htm(ドイツ語ページ)
54:
https://www.gesetze-im-internet.de/biokraft-nachv/BJNR318200009.html(ドイツ語ページ)
55:
https://www.gesetze-im-internet.de/emog/BJNR089800015.html(ドイツ語ページ)
56:
https://www.plattform-zukunft-mobilitaet.de(ドイツ語ページ)
57:
https://www.plattform-zukunft-mobilitaet.de/wp (ドイツ語ページ)
https://www.plattform-zukunft-mobilitaet.de/wp-content/uploads/2019/10/NPM_Bericht_AG-5_Roadmap-LNG-CNG_rz01.pdf(ドイツ語ページ)
58:
https://www.bmvi.de/SharedDocs/EN/Dossier/Electric-Mobility-Sector/electric-mobility-sector.html(英語ページ)
59:
https://www.standorttool.de/(ドイツ語ページ)
60:
https://www.bdew.de/energie/elektromobilitaet-dossier/energiewirtschaft-baut-ladeinfrastruktur-auf/(ドイツ語ページ)
自動車用先進燃料の動向(統計情報)
図1は、ドイツにおける2018年の道路輸送用に使われた燃料消費量を示しています。バイオ燃料の総使用量は、350万トン(主として、低濃度バイオディーゼル混合燃料、水素化植物油、バイオエタノール及びバイオメタン)でした。少ないですがバイオメタンはCNGとして使われています。優遇策が少ないためE85や純バイオ燃料のマーケットはありません。

図1 2018年にドイツにおいて道路輸送用に使われた燃料の消費量
出典: FNR(BAFA, Destatis, DVFG, BDEW, BLE 2019[61]を基に作成)(英語ページ)
表1及び2は、バイオ燃料及びバイオ混合燃料の2012〜2019年の販売傾向を示しています。2015年初頭に行われたバイオ燃料割当法による量的割当からGHG割当規制への変更及び2015年のREDに関するEUレベルでの調整結果により、2018年にドイツ市場でのバイオ燃料のGHGは平均で 84%削減され、推定で950万トンに相当するCO2の発生を抑えることができました[62]。表3は、2012〜2019年におけるドイツの燃料タイプ別乗用車数を示しています(表中のn/aはデータがないことを意味しています)。
表1 ドイツにおけるバイオディーゼル及びFAMEの販売トレンド 2012-2019年 百万トン

61:連邦経済輸出管理局; BAFA et al. (連邦統計局 [Destatis], DVFG [ドイツ LPG 協会],連邦財務省 [BMF], 再生可能資源庁 [FNR :Fachagentur Nachwachsende Rohstoffe e.V.]), 2019年2月(英語ページ)
62:
第38回BImSchVに従い、2018年から化石燃料の新基準値が適用https://www.ble.de/SharedDocs/Downloads/EN/Climate-Energy/EvaluationAndProgressReports2018.pdf?__blob=publicationFile&v=2(英語ページ)
表2 ドイツにおけるバイオエタノールの販売トレンド 2012-2019年 百万トン

表3 ドイツにおける乗用車台数のトレンド 2015-2019年

LPG :ヨーロッパ燃料品質基準EN589に準拠した液化石油ガス
CNG:ドイツ燃料品質基準DIN51624に準拠した圧縮天然ガス
EV:電気自動車 HEV:ハイブリッド自動車 PHEV:プラグインハイブリッド自動車
X:比較不可
出典:KBA 2019[63]
ドイツでは2019年1月1日時点で、440万台の二輪車を含めてトータルで6,480万台の自動車が登録されています[64]。そのうち乗用車が4,710万台、トラックが310万台、牽引車が220万台、80,500台がバス、その他が303,607台でした。
63:
KBA (Kraftfahrt-Bundesamt; 連邦自動車交通局), 2020, (ドイツ語ページ)https://www.kba.de/DE/Statistik/Fahrzeuge/Bestand/Jahresbilanz/2019_b_barometer.html?nn=2084378 and https://www.kba.de/DE/Statistik/Fahrzeuge/Bestand/b_ jahresbilanz.html?nn=644526(ドイツ語ページ)
64:
https://www.kba.de/DE/Statistik/Fahrzeuge/Bestand/b_jahresbilanz.html(ドイツ語ページ)
実証研究
自動車用代替燃料は、BMVI[65](2020年までに “代替燃料拡大のための国家戦略”;3憶ユーロ(3億2,500万米ドル)により、インフラ、e-モビリティ、LNG、CNG、ジェット燃料に対し支援)及び連邦教育研究省(BMBF)[66] (P2X and SynErgie; “Kopernikus Projects”[67])により、国レベルで公的に支援されます。さらに、連邦経済エネルギー省(BMWi)[68]は、e-フューエルに焦点を当てた“Energiewende im Verkehr”プログラムで、トータル8,700万ユーロ(9,620万米ドル)の資金を当てています。中心対策として「エネルギー転換の実研究所」が設立されました。2022年にロードマップが提示される予定です[69]。連邦食糧・農業省(BMEL)の再生可能資源に対する予算措置のもとで[70]、バイオ燃料に関する23の研究開発プロジェクトが2019年に1,100万ユーロ(1,200万米ドル)の資金提供を受けました。バイオマスベースの燃料に対し欧州のフレームワークは不利であるため、資金調達の増加は想定されていません。
65:
https://www.bmvi.de/EN(英語ページ)
66:
https://www.bmbf.de/en
www.bmbf.de/foerderungen/bekanntmachung-2292.html(英語ページ)
67:
https://www.kopernikus-projekte.de/en/home(英語ページ)
68:
https://www.bmwi.de/Navigation/EN/Home/home.html(英語ページ)
69:
https://www.energieforschung.de/forschung-und-innovation/energiewende-im-verkehr(ドイツ語ページ)
70:
https://www.bmel.de/EN(英語ページ)
今後の動向
ドイツ連邦政府は現在、再生可能エネルギーからの合成燃料を将来の市場に取り込むための支援に対しさまざまな措置を承認しています(たとえば, P2X)。このような手段には、P2X製品を社会実装する割り当てが含まれているほか、EUレベルの規制や直接的な生産も含まれています[71]。さらに、今後続く課題を解決するために研究開発活動(たとえば、ESR[72]アプローチに従い、RED IIにそれらを準拠させるためのバイオ燃料のGHG削減)が必要とされています。
71:
https://dipbt.bundestag.de/doc/btd/19/168/1916829.pdf(ドイツ語ページ)
72:
https://ec.europa.eu/clima/policies/effort/regulation_en(英語ページ)
補足情報
ドイツバイオエタノール産業協会,
https://www.bdbe.de/(ドイツ語ページ)
連邦回生電力協会,
http://www.brm-ev.de/en(ドイツ語ページ)
ドイツバイオ燃料産業協会,
http://biokraftstoffverband.de/index.php/start.html(ドイツ語ページ)
★自動車用先進燃料ニュース(2020年第2号(2020年12月発行))【目 次】
◆◆目次◆◆
○実証事業/プロジェクト/市場動向に関する情報
第二世代(2G)エタノールの実証事業
HVO(水素化植物油)の製造
ディーゼル用の再生可能燃料基材
新しいバイオ燃料の候補
再生可能な天然ガス
EUの精製業者と低炭素燃料
EU新車販売
○政策/規則/指令/基準に関する情報
インドネシアはB30(バイオディーゼルを30%配合した軽油)を推進
ラテンアメリカの排出ガス規制
先進クリーントラック規制
○船舶及び航空関連の注目ニュース
英国における持続可能な航空事業
ネステは再生可能代替航空燃料をサンフランシスコ国際空港に供給
○電気自動車関連の注目ニュース
米国の燃料電池の研究開発資金
米国は電気自動車用高速充電ルートを新設
バスの電化
○IEA(国際エネルギー機関)&IEA AMF(自動車用先進燃料)ニュース
AMF執行委員会
進行中のAMFアネックス
AMFオンラインセミナー
IEAクリーンエネルギー移行サミット
○AMFの共同研究の主な成果
自動車用燃料としてのメタノール
○刊行物
IEAエネルギー技術の展望
ETPクリーンエネルギー技術ガイド
持続可能なリカバリー
クリーンエネルギー移行プログラム
中国の排出権取引制度
日本:エネルギー白書2020
EU 2020 -エネルギー政策レビュー
EU統計ポケットブック2020
再生可能燃料のクレジットシステム
WTW(Well To Wheel)、WTT(Well to Tank)、TTW(Tank to Wheel)に関するJEC(Japanese Electrotechnical Committee:電気規格調査会)の出版物
自動車用LCAツール
エネルギー消費とコストの見積もり
持続可能な航空燃料への道筋
水素燃料航空機
燃料とエンジンの最適化
セルロース系バイオ燃料のGHG排出量
再生可能メタノールに関するウェビナー(オンラインセミナー)
船舶部門の脱炭素化
○イベント
出典:
https://iea-amf.org/app/webroot/files/file/Newsletters/AMF%20Newsletter%201-2020.pdf(英語ページ)
★自動車用先進燃料ニュース(2020年第2号(2020年12月発行))【主要記事】
AMFの活動で各国のAMFに関する最新情報がニュースレターとして配信されています。
自動車用先進燃料ニュース(2020年第2号)の中のいくつかの興味ある記事を以下に紹介します。
◆◆実証事業/プロジェクト/市場動向に関する情報◆◆
ディーゼル用の再生可能燃料基材
輸送部門のディーゼル燃料のニーズを満たすために、米国エネルギー省のエネルギー効率局とバイオエネルギー技術局(BETO:Bioenergy Technologies Office)に所属する国立研究所は、連携して再生可能及び廃棄炭素を持続可能なディーゼル燃料に変換する方法を開発しました。
この触媒化学法は、再生可能なバイオマスに由来するアルコールを取り出し、エーテルを生成するものです。このエーテルは、ディーゼル燃料のオクタン価向上及び煤の低減のための混合基材として使用できます。このプロセスで使用される触媒は、長期にわたり安定であることが示されました。 非常に安定で長持ちする工業用触媒は、プロセスの経済及び環境安定性にとって重要です。

新しい触媒プロセスを使用して開発された高性能ディーゼルバイオ燃料
出典:NREL(The National Renewable Energy Laboratory[国立再生可能エネルギー研究所]):米エネルギー省に属する再生可能エネルギーとエネルギー効率に関する研究開発を行う基礎研究所。所在地はコロラド州ゴールデン(デンバー郊外)。
出典:
https://www.nrel.gov/news/program/2020/new-catalytic-process-turns-renewable-and-waste-carbon-into-cleaner-high-performance-diesel-biofuel-blendstock.html(英語ページ)
再生可能な天然ガス
ブラジルの製糖業者で、サトウキビからのエタノール生産者であるGrupoCocalは、製糖工場に圧力スイング吸着バイオガスアップグレードシステムを設置しています。このシステムは、製糖及びエタノール製造プロセスの副産物の嫌気性消化ガスから再生可能な天然ガスを生成させるものです。これは、ブラジルのサトウキビ業界において初めて商業規模で再生可能天然ガス(RNG)をパイプラインに注入するプロジェクトになります。また、RNGの一部は、製糖工場で運行する車両で使用されます。
さらに、新たなビジネス協定により、化石及びバイオガス両方の原料を用いた小規模な液化天然ガス製造が促進されています。サンパウロでは地元の埋め立て地から発生するバイオメタンから最大15トンのLNGが生産され、バイーアでは既存ガス田から30トンのLNGが生産されます。どちらのプロジェクトも2020年に開始される予定であり、パイプラインや天然ガス自動車のステーションなど、さまざまな最終用途にLNGを提供します。
出典:
https://www.energy.gov/articles/doe-announces-new-lab-consortia-advance-hydrogen-and-fuel-cell-rd(英語ページ)(英語ページ)
https://www.energy.gov/articles/doe-announces-139-million-funding-55-projects-advance-innovative-vehicle-technologies(英語ページ)(英語ページ)
◆◆政策/規則/指令/基準に関する情報◆◆
先進クリーントラック規制
カリフォルニア州大気資源局は、政府機関として初めてトラックメーカーにディーゼルからゼロエミッション電気トラックへの移行を義務付けた先進クリーントラック規制を採択しました。2024年に始まり、2045年までにカリフォルニアで販売されるすべての新しいトラックの排出ガス量がゼロになることを目標に、販売要件が段階的に規制されます。この規制には、メーカーの販売要件と報告要件を含む2つの要素があります。
クラス2b〜8の車両または内燃機関を搭載した完成車を認証するメーカーは、カリフォルニアの年間売上高に占める割合を増やすようゼロエミッショントラックを販売する必要があります。2035年までに、ゼロエミッショントラックの売上高は、クラス2b 〜3の単車トラックの売上高の55%、クラス4 〜 8の単車トラックの売上高の75%、及びトラクタートラックの売上高の40%になる必要があります。さらに、大規模雇用主は出荷に関する情報を報告する必要があり、大規模運送事業者は既存の車両の運行状況について報告する必要があります。この情報は、カリフォルニア州が、運送事業者が彼らのニーズを満たすような利便性あるゼロエミッショントラックの購入や、適した場所でサービスの提供のための戦略を特定するのに役立ちます。

カリフォルニア州大気資源局HP【先進クリーントラック規制】
出典:
https://ww2.arb.ca.gov/our-work/programs/advanced-clean-trucks (英語ページ)
◆◆電気自動車関連の注目ニュース◆◆
米国の燃料電池の研究開発資金
米国エネルギー省(DOE)は、水素及び燃料電池技術の研究開発を進めるために、2つの新しいコンソーシアムに5年間で1億ドルを投資する計画を発表しました。あるコンソーシアムは、大規模で手頃な価格の電解槽を実現するための研究開発を実施します。他のコンソーシアムは、長距離トラックを含む大型車用燃料電池の開発を加速するための研究開発を実施します。このイニシアチブは、大型燃料電池トラックが耐久性、コスト、及びトラック業界の性能要件を満たすことができるような燃料電池技術改善のため、5年間の目標を設定しています。
さらに、米国エネルギー省は、燃料の多様化や車両効率などの分野に焦点を当てた55のプロジェクトに対し連邦資金1億3900万ドルを投入する計画を発表しました。プロジェクトは、ボルボによる大型直噴火花点火天然ガスエンジンの開発や、寒冷地での電気自動車の性能を向上させる方法の研究など、幅広い分野をカバーしています。

米国エネルギー省HP【水素及び燃料電池の研究開発を進めるための新しい研究コンソーシアムを発表 2020年6月23日】
出典:
https://www.energy.gov/articles/doe-announces-new-lab-consortia-advance-hydrogen-and-fuel-cell-rd(英語ページ)
https://www.energy.gov/articles/doe-announces-139-million-funding-55-projects-advance-innovative-vehicle-technologies(英語ページ)
米国は電気自動車用高速充電ルートを新設
Electrify Americaは、ドライバーがカリフォルニア州ロサンゼルスとワシントンD.C.間2,700マイルを運行することが可能となる初めての電気自動車(EV)用の大陸横断直流急速充電ルートを完成させました。それとは別に、2020年末までに、カリフォルニア州サンディエゴからフロリダ州ジャクソンビルへのルートが完成します。充電所は、高速道路の近くと大都市圏に平均70マイル間隔で配置されており、CCSコネクタとCHAdeMOコネクタの両方が備えられています。Electrify Americaは、フォルクスワーゲンのディーゼル車不正問題による排出ガスを相殺するために2016年に設立されました。

ElectrifyAmericaによる初めてのEV急速充電大陸横断ルート完成
出典:
https://electrek.co/2020/06/24/electrify-america-completes-fast-charging-cross-country-route/(英語ページ)
バスの電化
最近の「IEA Global EV Outlook」は、コルカタ(インド)、深セン(中国)、サンティアゴ(チリ)、ヘルシンキ(フィンランド)での路線バスの電化に関するケーススタディを取り上げ、公共交通機関の電化が地域の大気汚染と排出ガスの削減に果たす重要な役割を強調しています。レポートには、電気自動車の採用に関する政策の枠組みと市場システムを検討している政策立案者と利害関係者に向けた、市場における先進的な取り組みからの教訓を含む政策提言が含まれています。

global-ev-outlook-2020
出典:
https://www.iea.org/reports/global-ev-outlook-2020(英語ページ)
◆◆IEA(国際エネルギー機関)&IEA AMF(自動車用先進燃料)ニュース◆◆
AMF執行委員会
第60回自動車用先進燃料技術連携プログラム執行委員会(AMF ExCo 60)は、2020年11月に一連のオンライン会議として開催されました。AMFの事務管理、メンバーシップと広報、及び技術戦略について、個別の会議が開催されました。
メンバーシップ&広報会議中に、AMFは国際輸送フォーラムとの正式な協力関係を確立することを決定しました。また、AMF情報発信チャネルを拡張してLinkedInとTwitterもカバーすることが決定されました。
技術戦略会議では、先進的な自動車用燃料分野における最近の動向が議論されました。これに基づいて、AMFの共同研究に関するいくつかの新しいトピックが提起されました。自動車用先進燃料技術連携プログラムは、引き続き大型トラックと船舶用燃料に取り組むとともに、持続可能な航空燃料と、水素、アンモニア、メタノールなどのe-fuel(再生可能エネルギーから合成した燃料)に関する専門作業部会を開始することに関心を持っています。
事務管理に関する会議では、AMFの法的文書を新しいIEA TCP(The Technology Collaboration Programme:技術連携プログラム)のフレームワークに適合させるための措置を講じることが決定されました。今後2年間の執行委員会の議長としてJesper Schrammが、副議長としてSandra Hermle、Michael Wang、Jun Liの各氏が選出されました。
次回の執行委員会は、2021年5月にオンラインミーティングを複数回実施することで行われます。
IEAクリーンエネルギー移行サミット
世界経済の80%以上を占める数十か国の大臣が、IEA主催の最初のクリーンエネルギー移行サミットに参加し、Covid-19危機から持続可能で回復力のある復興をもたらし、世界の炭素排出量のピークを抑制する方法について話し合いました。
参加者は、Covid-19パンデミックがエネルギーシステムに与える影響を強調し、現在の課題にもかかわらず、クリーンエネルギーの移行をサポートする方法を見つけることの重要性を強調しました。主要なテーマには、水素などの分野におけるより大きなイノベーションの必要性、包括的で公平な回復の重要性、電力分野をより強靭で持続可能なものにする方法が含まれています。

国際エネルギー機関(IEA)主催のクリーンエネルギー移行サミット(リモート形式で開催:2020年7月9日)
出典:IEAクリーンエネルギー移行サミット
出典:
https://www.iea.org/news/40-ministers-from-around-the-world-gather-to-address-the-world-s-energy-and-climate-challenges(英語ページ)