■海外情報

★ カナダにおける自動車用先進燃料の動向
《AMF-TCP(自動車用先進燃料技術連携プログラム)2019年間報告書より》
出典:https://www.iea-amf.org/

◆◆カナダ◆◆

自動車用先進燃料普及の背景及び政策
◇クリーン燃料基準 (CFS)
 カナダは、建物、自動車及び産業に使われる燃料をよりクリーンにするため、連邦クリーン燃料基準(CFS)を展開しています。様々なタイプの燃料に対する性能基準を設定することにより、CFSは、石油・ガス分野におけるクリーン燃料の製造を後押しし、革新を促進させ、そして汚染がより少ない燃料の使用に対するインセンティブが創出されます。CFSの目的は、2030年までには年3,000万トンの温室効果ガス(GHG)排出量を削減することであり、カナダのパリ協定目標達成に向け重要な貢献をするものです。
出典:https://www.canada.ca/(英語ページ)

◇再生可能燃料規制 (RFRs)
 RFRsは、燃料生産者と輸入業者に対し(1)ガソリンの場合、体積比で少なくとも平均5%、(2)軽油と加熱蒸留油の場合、体積比で少なくとも平均2%の再生可能燃料を含有することを要求しています。規制では、ロットごとに作成された適合書を管理し、そのロットの取引を許可する規定が含まれています。また、適合性を確保するために記録と報告が必要となっています。
出典:https://pollution-waste.canada.ca/(英語ページ)

◇再生可能燃料に関連する基準
 カナダ一般基準協議会(CGSB) は、一般や民間企業とコンセンサスを得るプロセスを経て、再生可能燃料品質基準を含む燃料品質基準を策定する組織です。

表1 CGSBの再生可能燃料品質に関連する基準

出典:http://www.tpsgc-pwgsc.gc.ca/(英語ページ)

◇乗用車及び軽量トラックのGHG排出量規制
 2014年に、2017〜2025年モデル軽量車(LDVs)のGHG規制に関する第2段階のアクションが発表され、規制はより強化されました。これらの規制下において販売台数による加重平均燃費は、乗用車では2010年の8.6 L / 100 kmから2020年の6.4 L / 100 kmに、軽量トラックでは2010年の12 L / 100 kmから2020年の9.1 L / 100 kmに改善すると予測されています。カナダは現在、2022〜2025年モデルの基準の適切性について中間評価を行っています。この中間評価の結果により2021年以降の改善が決まります。
出典:https://pollution-waste.canada.ca/(英語ページ)

◇重量車及びそのエンジンに関するGHG排出量規制
 2018年、重量車及びそのエンジンのGHG排出量規制が改訂されました。改訂により、2021年モデルからより厳しい規制となります。道路輸送用トラクターで牽引されるトレーラーに適用される新しいGHG排出量基準を導入するための改訂がなされています。改訂により、2020年から2029年モデルが運行する寿命の間、2020年から2050年の期間にわたって発生する累積の燃料節約量は、277億リットルになると推定されています。
出典:https://pollution-waste.canada.ca/(英語ページ)

◇自動車用先進燃料の動向(統計情報)
 図1に、カナダにおける2018年の燃料ごとの輸送用エネルギーの割合を示します。表2に、エタノール及びバイオディーゼル燃料の需給を示します。

図1 2018年におけるカナダの輸送用エネルギーの割合
* エタノールの比率は、製造データに基づき見積もられている。

表2 2018年におけるカナダのバイオ燃料の需給(単位:百万リットル)

出典:https://www.nrcan.gc.ca/(英語ページ)

実証研究
◇自動車用エコ技術(eTV )プログラム
 カナダ運輸省の eTV プログラムは、新しい先進的な乗用車やトラック技術について、安全性と環境性能の詳細なテストをする取り組みです。このプログラムでは、電気、圧縮天然ガス、水素燃料電池自動車などの代替燃料自動車の性能を調査します。
出典:https://www.tc.gc.ca/(英語ページ)

◇電気自動車及び代替燃料のインフラ普及に関する取り組み (EVID)
 カナダ天然資源省(NRCan)は、電気自動車(EV)の充電と代替燃料充填のネットワークをカナダ全土に拡大するための投資を行っており、EVの急速充電、天然ガスと水素の充填ステーションの導入、革新的な充電技術と水素燃料充填インフラの実証、及び低炭素車両とインフラのための基準・標準の開発を支援しています。
出典:https://www.nrcan.gc.ca/(英語ページ)

◇エネルギー革新プログラム(EIP)
 NRCanのEIPは、クリーンエネルギーの革新を支援しています。クリーン技術の研究開発(R&D)を加速することは、持続可能な経済成長を促進し、GHGを含む排出ガスを削減し、低炭素経済への移行を支援するためのカナダ政府のアプローチの重要な要素となっています。
出典:https://www.nrcan.gc.ca/(英語ページ)

◇エネルギー研究開発プログラム (PERD)
 NRCanの PERDは、カナダの将来の持続可能エネルギーを確実なものとするため、連邦政府が実施するエネルギーに関するR&Dを支援しています。主な研究領域は、燃料及び輸送の面から二酸化炭素排出量の削減に役立つ知見と技術に焦点を当てています。
出典:http://www.nrcan.gc.ca/(英語ページ)

◇車両動力技術 (VPT)プログラム
 カナダ国家研究評議会のVPTプログラムは、カナダの自動車メーカーの内燃機関、パワートレイン、及び電気・燃料電池動力利用における効率改善を支援しています。
出典:https://nrc.canada.ca/(英語ページ)

◇戦略的イノベーション基金
 カナダ・イノベーション・科学・経済開発省が運営する戦略的イノベーション基金は、イノベーションに投資するカナダの企業を支援するためのものです。このプログラムは、自動車を含む新技術の研究と社会実装に関連するコストを減殺するのに役立ちます。
出典:http://www.ic.gc.ca/(英語ページ)

◇クリーンな成長及び気候変動に関する全カナダ・フレームワーク
 2016年、カナダ首相は、全カナダ・フレームワークを採用しました。これまでの他の多くの活動に加え、連邦温室効果ガス汚染価格法が採択されました。また、再生可能エネルギープロジェクト、州間の電力網、ゼロエミッション車の充電、公共交通機関ネットワークなどのインフラプロジェクトも継続しています。
出典:https://www.canada.ca/(英語ページ)

◇クリーン輸送システム-研究開発プログラム(CTS-RD)
 カナダ運輸省は、特に鉄道、船舶、航空分野における輸送システムの環境性能改善に役立つプロジェクトを支援する目的でCTS-RDを設立しました。このプログラムは、これらの分野における新しいクリーン技術の革新、実践、または研究を前進させることを目指しています。
出典:https://www.tc.gc.ca/(英語ページ)

◇ゼロエミッション車に関するプログラムへのインセンティブ
 2019年に、カナダ政府はゼロエミッション車(ZEV)の連邦販売目標を設定し、軽量車両について2025年までに新車の10%、2030年までに30%、2040年までに100%としました。これらの目標を達成するために、政府は、適切なZEVの連邦購入インセンティブプログラムを含む一連の新しい政策を導入しました。インセンティブプログラムが開始された2019年5月1日から2019年12月31日までの間に、33,000人を超えるカナダ国民がプログラムの恩恵を受けました。この期間中のすべてのZEVの売上は、2018年の同期間と比較し30%増加しました。2019年のZEV市場シェアは、2018年が2%だったのに比べて、全LDV販売の3%に達しました。
出典:https://www.tc.gc.ca/(英語ページ)

◇カリフォルニア大気資源委員会とカナダ環境・気候変動省間の覚書
 2019年に、カリフォルニア(米国で最も人口の多い州)とカナダは、クリーンな輸送を推進するための協力覚書に署名しました。この合意では、車両からのGHG排出量を削減、よりクリーンな車両の取り込み促進、よりクリーンな燃料に関連するベストプラクティス共有のため、それぞれの規制に関し共同で作業することを約束しています。
出典:https://www.canada.ca/(英語ページ)

今後の展望
 表3に示すように、カナダの輸送部門はいくつかの異なるサブ分野で構成されています。各サブ分野のGHG排出量は、予測期間中に異なる傾向を示しています。乗用車、トラック(注;原文のまま)、二輪車からのGHG排出量は、2005年から2030年の間に2,100万トン減少し、大型トラックと鉄道のGHG排出量は、1,400万トン増加すると予測されています。
表3 運輸部門からのGHG排出量 (CO2 百万トン相当)

*これらの予測は2017〜2025年モデルにおける排出ガス基準に基づいている。

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