自動車環境問題に関することばを取り上げて解説します。
バイオ燃料とは、生物体(バイオマス)のもつエネルギーを利用した燃料のことです。樹木等の植物は代表的なバイオマスですが、一般的に、木材や廃材、生ゴミ、家畜糞尿等の有機系廃棄物を含めてバイオマスと呼んでいます。
バイオ燃料を燃やすと、石油を燃やした時と同様、CO2が排出されます。しかし、そのCO2は植物の光合成によって再び植物体内に固定化されるため、エネルギー資源としての循環型利用が可能(再生可能エネルギー)です。また、エネルギーの消費と植物の育成のバランスを保てば、大気中のCO2濃度が上昇することはなく、地球温暖化防止にもつながります。
バイオ燃料には、薪や木炭などの固体燃料、メタノールやエタノール、バイオディーゼル燃料などの液体燃料、バイオガス(発酵メタン)などの気体燃料と様々な形態があります。これらのうち、自動車用燃料には、主に液体燃料が使われています。しかし、市販のガソリン自動車やディーゼル自動車に、バイオ燃料をそのまま使用した場合、エンジンや燃料供給装置に損傷を与える恐れがあるため、現状では、ガソリンや軽油に少量のバイオ燃料を混ぜたものが使用されています。
我が国では、平成15年8月に品確法が改正され、ガソリンに対するエタノールの混合率が3%までと定められました。また、菜種、とうもろこし、廃食油などから作られるバイオディーゼル燃料については、大気汚染防止、車両の安全性および品質確保の観点から、軽油に対する混合率が検討されているところです。
バイオエタノールは、さとうきびやとうもろこしなどをアルコール発酵させて製造します。世界の年間エタノール生産量は約3,300万klで、そのうち約93%がバイオエタノールとなっています。燃料用としては年間約1,900万klが消費されています。
バイオディーゼル燃料は、菜種油やコーン油などの植物油、さらにはその廃食油をメタノールなどのアルコールと反応(エステル化)させて製造されます。我が国では、バイオディーゼル燃料の生産量は年間約1,500トン程度ですが、欧州では、2010年までに全エネルギーの5.75%をバイオ燃料で代替するとの目標が掲げられており、年間生産量は80万トン(1999年)に達しています。ドイツでは、すでに2,000カ所のバイオディーゼル燃料スタンドが設置されています。
バイオディーゼル燃料は燃料中に酸素を含んでおり、軽油に混合してディーゼルエンジンに使用した場合、黒煙の排出を低減することができます。また、前述の通り、バイオ燃料は再生可能エネルギーのため、CO2排出量が低減できます。
バイオ燃料を使用する自動車は、高濃度エタノールやメタノール対応車などを除いて専用仕様はほとんどなく、現行のガソリン車やディーゼル車がそのまま使えるように、米国や欧州ではバイオ燃料の規格が定められています。
我が国では、京都市が1999年からバイオディーゼル燃料を使用した210台の塵芥車及び72台の路線バスを導入し、実証試験が行われています。
出典:http://www.city.kyoto.jp/kankyo/envm/cev/cevindex.htm
参考:坂 志朗著「バイオマス・エネルギー・環境」(アイピーシー社)
本多淳裕著「バイオマスエネルギー」((財)省エネルギーセンター)