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なるほど!ザ・ワード〜低公害車用語解説〜

自動車環境問題に関することばを取り上げて解説します。

第3回 窒素酸化物(NOx)

NOx(窒素酸化物)による大気汚染については、従来から、工場、事業場や自動車単体からの排出ガスに対する規制が実施されてきました。
しかし、自動車から排出されるNOxについては、段階的に排出ガス規制が強化されてきているにもかかわらず、交通量が増加したことや、貨物車などのディーゼル化が進んだこと、ディーゼル車の中でもNOxの排出量の多い直噴式エンジン車の占める割合が増加したことなどによって、その効果が相殺されています。
その結果、交通が特に集中している首都圏や大阪・兵庫圏では環境基準の上限値を超える測定局が多数あり、大気汚染は深刻な状況にあります。
さて、窒素酸化物とは一体どんなものなのでしょうか。

◆窒素酸化物(NOx:ノックス)とは

窒素酸化物(NOx)は、大気中の窒素(N2)と酸素(O2)が高温状態で結びついて生成する物質です。
窒素酸化物には、窒素原子(N)が1個と酸素原子(O)が1個結びついた一酸化窒素(NO)、窒素原子1個に酸素原子が2個結びついた二酸化窒素(NO2)および2個の窒素原子に酸素原子が1個結びついた亜酸化窒素(N2O)があり、これらを総称してNOx(ノックス)と呼んでいます。

◆光化学スモックや酸性雨と窒素酸化物

元来、二酸化窒素(NO2)は、呼吸刺激ガスとして知られ、毒性は一酸化窒素の5〜10倍、血液中のヘモグロビンとの親和性も一酸化炭素の1000倍もあるといわれていますが、大気中の二酸化窒素(NO2)濃度が直接人体に影響する濃度になることはまずありえません。
問題なのは、二酸化窒素(NO2)が媒介して作り出す二次的な生成物の光化学スモック酸性雨による被害でしょう。
大気中の二酸化窒素(NO2)は、紫外線を吸収しやすく、この際に酸素原子(O)を放出します。この酸素原子(O)が大気中の酸素分子(O2)と結びつくと、強酸化物質であるオゾン(O3)を作り出すといわれています。このオゾンが光化学オキシダントの主成分です。発生したオキシダントは、周辺の大気を酸性化し、目などに刺激を与えたり、大気中の炭化水素を酸化させて毒性の強い物質へ変化させると言われています。
二酸化窒素(NO2)は、赤褐色の気体で、水に溶けると、硝酸(HNO3)や亜硝酸(HNO2)となります。これらは、酸性雨の原因になると言われています。

◆自動車のNOx排出ガス対策(自動車NOx法)

二酸化窒素(NO2)については、行政目標である環境基準の達成を目指して、自動車単体の排出ガス規制が進められてきましたが、大都市地域では、依然として基準に適合しない地域が多く残されています。
この原因には、(1)自動車交通量の増大、(2)ディーゼル自動車の増加、(3)最新規制適合車への代替の遅れの三点が指摘されています。
こうした状況から、平成4年6月に「自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」いわゆる自動車NOx法が制定されました。対象の特定地域は、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県のうち政令で定められた196市区町村で、同法に基づき都道府県知事による総量削減計画が策定されるとともに、特定地域を本拠地とするトラック・バス等をNOx排出量のより少ない車種へ代替することの義務付け(使用車種規制)が実施されています。
運送事業者等には、最新規制適合車への代替促進、走行量の削減、積載率の向上、適正運転の励行、低公害車の導入などの指導や助言が行われています。
さらに、2001年3月に環境省が決定した自動車NOx法改正案では、(1)特定地域に名古屋市周辺を追加し、(2)対策対象物質に粒子状物質(PM)を追加し、(3)ディーゼル乗用車が新たに車種規制の対象に加えられました。
今後、これらの施策の推進によって、窒素酸化物による大気汚染の改善が図られると期待されます。


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