なるほど!ザ・ワード〜低公害車用語解説〜

自動車環境問題に関することばを取り上げて解説します。

第11回 LPG

◆LPGの特徴

LPGはLiquefied Petroleum Gasの略称で、液化石油ガスのことを指します。LPGはプロパン、ブタン等の炭化水素を主成分として構成され、その他に着臭のために微量な硫黄化合物が含まれています。LPGは常温・常圧下では気体ですが、-25℃程度まで冷やしたり、5気圧程度の圧力を加えたりすると簡単に液体になり、貯蔵や輸送が容易になります。LPGは家庭用、工業用及び都市ガス用などの燃料としての用途がほとんどですが、一部スプレー剤などの化学原料にも使用されています。
自動車用燃料として用いる場合、ブタンはプロパンに比べ低温での気化性が悪いため、低温時の運転性を良くするにはプロパンの割合を大きくする必要があります。このため、わが国では季節や地域によってその構成比率が変わります。プロパン/ブタンの構成比率(重量)は夏期で20/80、冬期で30/70程度となっています。
LPGはガソリンと同程度のオクタン価を持つため、火花点火方式のエンジンに適しています。また、液体燃料として車載されるため、気体燃料を搭載するCNG(圧縮天然ガス)車に対して航続距離や積載量の点で有利になります。

■各種燃料の特性
画像

注)軽油、ガソリンは代表的な数値を示す。
出典:オランダTNO研究所

◆生産・供給方法

LPGは原油や天然ガスを採掘する際の随伴ガスとして産出されます。国内においては原油の精製過程において副生ガスとして産出されます。世界のLPG生産量は年間約2億トンで、そのうち約1,900万トンが日本で消費されています(2001年度)。日本全体のLPG供給量の77%が輸入でまかなわれています。
用途別の内訳は、家庭業務用が41.1%と最も高く、その他一般工業用が25.5%、化学原料用が12.7%、都市ガス用が10.3%であり、自動車燃料用は8.3%となっています。
自動車燃料用のLPGは全国1,845カ所のLPGスタンド(平成15年2月現在:(社)全国エルピーガススタンド協会調べ)で、1リットルあたり約50円で供給されています。

用途別内訳

日本のLPG需要の推移
出典:(社)日本LPガス協会

◆環境への影響

LPG自動車はガソリン車と同じ燃焼方式で、排気後処理に三元触媒を使用できるため、排出ガスはきわめてクリーンとなります。ディーゼル車と比較した場合、LPG車はすすが出ないため、排出ガス低減効果は非常に高くなります。

◆LPG自動車の開発と普及状況

2000年現在、世界中で7,323千台のLPG自動車が走行しています。内訳は、イタリアが1,234千台と最も多く、ついで韓国の1,214千台、トルコの950千台などとなっています。
欧州では、LPGとガソリンのどちらでも走行できるバイフューエル自動車が開発され、実用化されています。
日本では290千台のLPG自動車が普及しており、そのほとんどがタクシーやハイヤーとしての用途ですが、近年、都市部の環境対策としてディーゼル代替のLPG集配車、LPG塵芥車などが増えています。
ディーゼルトラックと比べると、LPGトラックは排出ガス特性が優れ、振動や騒音が小さいというメリットがありますが、燃費が劣ります。このため、燃費改善のための研究開発が進められています。

参考:World LP Gas Association


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