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なるほど!ザ・ワード〜低公害車用語解説〜

自動車環境問題に関することばを取り上げて解説します。

第10回 エタノール

◆エタノールの特徴

エタノールはエチルアルコールとも呼ばれ、常温で無色透明な液体です。特異な香気があり、水にも有機溶媒にもよく混和し、殺菌・消毒効果もあります。また、アルコール類の中で唯一飲用することができ、メタノールと違って毒性はありません。酒類の他、医薬品、化粧品、化学工業品等の幅広い用途で使われていますが、液体であるため自動車用燃料としても注目されています。
自動車用燃料として用いた場合、ガソリンよりオクタン価が高くセタン価は低いため、火花点火方式のエンジンに適しています。ただし、エタノールは単位重量あたりの発熱量が軽油の6割程度です。エタノールを自動車用燃料として用いるには、ガソリンや軽油にエタノールを10〜20数%程度混入する場合と、エタノールのみで走行する場合とがあります。後者の場合、エンジンおよび燃料供給装置の腐食対策などが必要となります。
最近、サトウキビなどの植物から作ったバイオエタノールが、地球温暖化をもたらす二酸化炭素(CO2)を削減できることから注目されており、日本においても環境省および経済産業省がガソリンへエタノールを10%混合した燃料(E10)への転換を2008年度を目処に実施する方針を固めました。

■各種燃料の特性
各種燃料の特性

注)軽油、ガソリンは代表的な数値を示す。
出典:オランダTNO研究所

◆生産・供給方法

世界のエタノール生産量は年間約3,300万klで、そのうち約93%が発酵エタノールであり、残りがナフサからのエチレン原料の合成法により生産されています。用途別の内訳は燃料用が約1,900万kl、工業用が約900万kl、酒類用が約450万klとなっております。
現在、日本ではエタノールを自動車用燃料として利用していませんが、米国では排気対策およびエネルギー政策の観点から、ガソリンにエタノールを混入したガソホールと呼ばれる燃料の使用が法律により義務づけられています。その他、ブラジル、カナダ、フランス、スウェーデンなどで自動車用燃料の一部としてエタノールが使用されています。

◆環境への影響

軽油にエタノールを添加した燃料を使用したディーゼルエンジンの性能試験では、エタノールの添加率を増加させると、排出ガス中のNOxは変わらず、PMは大幅に低減するという結果が得られており、ディーゼル車からのPM排出抑制に顕著な効果があることが示されています。

画像

出典:SAE paper No.2001-01-2018

◆エタノール自動車の開発と普及状況

米国では、ガソリンへのエタノール添加濃度が州によって大きく異なるため、エタノール濃度85%(E85)までの燃料に対応できるFFV(Flexible Fuel Vehicle)も開発され市販されています。
ブラジルは世界最大のアルコール生産国であり、現在、350万台のエタノール自動車および1350万台のガソホール自動車が走行しています。
スウェーデンでは、大気汚染防止のためにエタノール燃料を使用する公共バスの試験運行がストックホルムで開始されましたが、現在までに主要13都市に拡大され、約400台が運行されています。また、ボルボ社と共同開発したエタノール乗用車を公用車に使用しています。

参考文献:坂 志朗 編著 「バイオマス・エネルギー・環境」


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