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なるほど!ザ・ワード〜低公害車用語解説〜

自動車環境問題に関することばを取り上げて解説します。

第7回 いろいろな自動車用代替燃料

21世紀の自動車に対しては、NOxやPM等の排出ガス低減とCO2の削減のため燃費向上の要求がますます強くなっています。このため、種々の自動車技術開発が進められていますが、自動車に使われる燃料も自動車の環境問題への対応に重要な役割をもつと考えられています。
これまでの自動車に用いられているガソリンや軽油などの石油系燃料では、自動車からの排出ガス低減のために、例えば軽油中の硫黄分の削減やガソリンに含まれるベンゼンの削減など燃料品質の改善が進められています。
石油系燃料以外では、いわゆる代替燃料を使用した低公害自動車の開発・実用化も進められています。
代替燃料とは、一般に、化石燃料である石炭や石油(ガソリンや軽油)の代わりとなる燃料資源をいい、自動車用燃料としては、天然ガス、メタノール、エタノール、LPG、DME、バイオ燃料、水素などがあげられます。これらの燃料は、従来のエンジンのみならず、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車などとの組み合わせで提案され、研究開発が進められています。
(参考 下表)

以降の「なるほど!ザ・ワード」では、今後の環境対策を担ういろいろな自動車燃料について取り上げて紹介して参りたいと思います。

◆天燃ガス

メタン(CH4)を主成分とした可燃性ガスで石油,石炭と同じ化石燃料の一種である。メタンハイドレード(メタン水和物)として海底に存在することが確認されており、将来のエネルギー源として期待されている。メタンは分子中の炭素の比率が少ないため、燃焼によるCO2の発生量が石油系燃料と比較し約20%少ない。自動車用燃料としては、200気圧程度まで圧縮して使う場合(圧縮天然ガス:CNG)や(−162℃)に冷却し液化させたものを使う場合(液化天然ガス:LNG)がある。

◆メタノール

メチルアルコール(分子式はCH3OH)ともいう。ガソリンや軽油の代替燃料として用いられてきたが、近年では燃料電池自動車の燃料として注目を集めている。メタノール燃料には硫黄分が含まれないため、燃焼しても硫黄酸化物が発生しない。ただし、腐食性が強いので燃料系部品には特殊な材料が必要である。

◆エタノール

エチルアルコールともいう(分子式はC2H5OH)。穀物や果物類の発酵によっても得られる。ガソリンに混ぜて使用している国もある。

◆LPG

液化石油ガス。日本ではタクシー用にLPGエンジンが広く普及している(約30万台)。プロパンとブタンが主成分。これらのガスは加圧(数気圧)すると液化し、比較的取り扱いが容易である。

◆DME

ジメチル・エーテル(分子式は、CH3OCH3)はLPGに似た特性を持ち、かつセタン価が高いため、ディーゼル代替燃料として注目されている。分子中に酸素原子を持つ含酸素燃料で、燃焼時には、すすの発生が少ない。現在は天然ガスから製造されているが、バイオマスからも作ることができる。

◆バイオ燃料

光合成によって生物が生み出した物質を原料としたエネルギー(燃料)をバイオマス・エネルギーという。関連した自動車用燃料としては、でんぷんや糖質、油分、食物繊維、木材チップ、藻等のバイオマスから作られるメタン、メタノールやエタノール、RME(なたね油メチルエステル)等がある。これらは、燃焼によってCO2を発生するが、これはもともと植物が光合成によって大気中から取り込んだものなので植物資源を再生すれば大気中のCO2濃度を上昇させずに済む。地球温暖化問題や化石燃料枯渇問題に対応したエネルギーとして注目されている。

◆水素:H2

燃やしても水蒸気になるだけで、大気汚染や地球温暖化に繋がる有害物質の発生がない究極のクリーン燃料。自動車用途では、燃料電池自動車の燃料として注目されている。可搬性、爆発安全性が課題とされている。水素は電気と同じ2次エネルギーであり製造する際にはエネルギーが必要なので、CO2の発生をおさえた製造方法が課題である。

■参考資料
21世紀の自動車用燃料の動向

自動車環境ハンドブック GM
21世紀の自動車用燃料の動向 松原 自動車技術 Vol55、No5 、2001


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